介助犬にオーナーとの別れを強いる馬鹿げた政策

香港の住宅問題は、社会に深刻な影響を与えています。 人だけではなく、犬にまで影響を及ぼしています。

以前は、住民が家で犬を飼うことは普通に許されていました。しかし、居住空間の狭さや苦情の増加に伴い、個人宅での犬の飼育は認められなくなってきています。しかし、そこにすでに住んでいた犬は生涯そこで暮らすことができ、それは思いやりのあることだと言えます。

しかし、公営住宅ではまったく別のケースになります。犬を飼うことができないほど厳しいのです。違反者は退去を求められることもあります。現行の規定では、犬は「適切なペット」とはみなされていません。しかし、住宅局は、申請者が医療証明書を提出できる場合に限り、一定の条件で盲導犬、聴導犬、介助犬との同居を認めることができます。 2021年7月まで、約1600件の申請が認められています。しかし、住宅局はこれらの犬に多くの制限を設けており、飼い主にはとても不便なものです。

最近では、公営住宅に住む心疾患を持つ人の介助犬が「体重オーバー」だという理由で、介助犬との引き離しを要求されるという事件がありました。

その方は、以前は家族と一緒に暮らしていましたが、心疾患があるため主治医から精神的な回復を助ける介助犬を飼うことを勧められました。そして、ゴールデンレトリバーを飼いはじめて2年になります。家族の事情で公営住宅に引っ越すことになり、犬との同居を住宅局に申請したのです。

しかし、住宅局は犬が「体重オーバー」という理由で申請を却下しました。さらに、犬を連れてきたら退去しなければならないと警告されたそうです。犬猫条例によると、20kg以上の犬は「大型犬」に分類されます。住宅局は、たとえ医療用の犬であっても、他の住民の権利を考慮すべきだと考えているのです。

この患者さんはその後、メディアに助けを求めました。あるテレビ局が同行して、住宅局に反論するチームを送りこみました。しかし、この公務員は、犬は「体重オーバー」であり、申請を却下するのは法的に正しいと主張しました。患者さんは、以前にはこのようなケースはなかったとさえ主張しました。ある動物愛護団体がメディアに明かしたところによると、以前には申請が成功した例があったそうです。犬の体重オーバーという理由だけで申請を却下するのは非常に馬鹿げています。患者さんは、なすすべもなく、新たに家を探さなければならないかもしれません。犬と一緒に暮らせないのなら、ホームレスになった方がマシだとさえ言っていました。

世界愛犬連盟(WDA)は、今回のケースは、香港政府が動物福祉政策を施行するにあたり、馬鹿げた政策と官僚的な公務員という2つの大きなデメリットを示したと考えています。犬猫条例で「大型犬」を分類するのは問題ありませんが、住宅局が住宅規定を立てる際にそれを基本として採用するのは間違っています。ラブラドール・レトリバーのような介助犬は、通常30kgを超えます。介助犬を必要とする患者の実際のニーズを住宅局が考慮していないことは明らかです。

香港の公務員は、業務怠慢と効率の悪さで有名です。今回の件では、患者へ共感することもなく、規定によって患者に障害を与えることにさえなりました。

WDAは、香港で包括的な動物福祉法の向上を推進してきました。今回の件では、法制化後にやるべきことがたくさんあることを思い知らされました。第一に、すべての部門に動物福祉法を参考にした規定の設定を求めることが必要なこと。第二に、公務員を是正する必要があること。彼らがサービスを提供する際に共感を持ち、患者と動物のニーズを考慮するようにしなければなりません。